青色申告とは
所得税の確定申告には青色申告と白色申告があり、納税者自らが日々の収支状況を記帳して所得を計算し申告納税を行わなければならず、 青色申告とは日々の取引を一定の帳簿に記帳することにより、所得税・住民税などの税負担が軽減される有利な制度です。 税法上、白色申告にはない様々な特典や特色があるため、納税者にとって青色申告は節税の原点ともいえるでしょう。
青色申告の特典
青色申告には50項目以上の特典がありますが主な特典をご紹介いたします。
(1)青色申告特別控除
青色申告者は一定の条件のもとに「最高65万円」を所得金額から別控除することができます。控除額は「65万円」と「10万円」の2種類があり
65万円の適用を受けるためには複式簿記による記帳が求められます。
控除額 | 記帳する帳簿 | 作成する決算書類 |
---|---|---|
10万円 | 簡易帳簿 | 損益計算書 |
65万円 | 複式簿記 | 損益計算書・貸借対照表 |
(2)青色事業専従者給与の必要経費の算入
事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族が、その事業に従事している場合には支払った給与は専従者給与として必要経費
とすることができます。
※専従者給与を受けるためには事前に税務署への届出が必要です。
(3)純損失の繰越控除と繰戻による還付
その年の事業に赤字(欠損)が生じた場合、その赤字を翌年以降3年間にわたり繰り越して控除することができます。
また、赤字の前年も青色申告している場合は赤字金額を前年の所得から差し引いて計算し、すでに納付している前年度分
の所得税を還付してもらうことができます。
青色申告の対象者
◆小売業・卸売業・サービス業・建設業・農業・漁業・自由業などの事業を行っている人
◆住宅・アパート・店舗・土地の貸付を行っている人
◆山林の伐採や譲渡による山林を所有する人
青色申告を行うためには
青色申告をしようとする方は、その年の3月15日までに「青色申告承認証明書」を所轄の税務署に提出が必要です。
また、新規に事業を始めた場合、始めた日から2ヶ月以内に提出して下さい。
申請については当青色申告会にご相談下さい。
青色申告に必要な帳簿とは
青色申告者は税法上定められた帳簿を記帳していくことの義務が課せられております。
具体的には複式帳簿による記帳が求められております。また、10万円控除の場合は簡易帳簿方式によることもできます。
標準簡易帳簿は現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・その他債権債務記入帳などが必要です。
※白色申告でも所得金額が300万円を超える場合には記帳義務が生じますので税法上特典のある青色申告を選択することが望ましいと思います。
白色申告と青色申告の税額比較
設例:正規簿記による記帳の場合
控除前の所得 7,000,000円
妻の専従者給与 1,400,000円
青色申告特別控除 650,000円
所得控除 2,009,200円
(所得控除内訳)
社会保険料控除 (719,200円)
扶養控除(16歳未満2人) (760,000円)
生命保険料控除(個人年金保険含む) (100,000円)
基礎控除 (380,000円)
白色申告 (A) |
青色申告 (B) |
差額 (A)-(B) |
|
---|---|---|---|
事業税 | 162,000円 | 135,000円 | 27,000円 |
住民税 | 435,000円 | 359,500円 | 75,500円 |
所得税 | 398,500円 | 215,000円 | 183,500円 |
計 | 995,500円 | 709,500円 | 286,000円 |
青色申告による
節税額 286,000円
(注)比較資料は税務署22.1作成データによるものです
(注)妻の専従者給与に対する所得税・住民税含む